賃金ベース・賃金格差

賃金ベースはある商品の価格を決定するときに、生産原価の1つとして計算される労務費を、労務者1人1ヶ月当りの賃金に換算した平均賃金のことでしたが、それが戦後の日本では企業、産業、あるいは地域の労働者の賃金を平均したもの、政府が予算を組むときや公定価格を決めるときに、計算のもとにする平均賃金を意味するようになりました。昭和22年頃から、賃金要求が賃金ベースを基準とするようになったために、賃上げをベースアップと呼ぶようになりました。通常は平均何%の賃上げをすべてベースアップと呼んでいますが、これには定期昇給による増額分も合まれる場合が多いために、その部分を除いた増額分が本来のベースアップによる賃上げです。
賃金格差は資本と労働の自由な移動、競争のもとでは、熟練、強度の等しい同じ職種の賃金は均等になり、職種間の賃金の差はそれぞれの熟練、強度に対応する傾向にありますが、資本と労働の移動、競争が、現実には防げられ制限されているので賃金に各種の開きが生じます。こうした賃金の開きを、賞金格差と言います。賃金格差には、年齢、性別、人種、その他による同じ企業、同職種の労働者間の個人別格差、同企業内の職種間格差、同産業、同職種の地域問格差、同産業、同職種、同地域の企業間格差、同地域、同職種の産業間格差、5種類がからみ合っています。この各種格差の複合体のことを賃金構造とも言います。日本の賃金構造は、労働省が昭和23年以降、賃金構造基本調査として、毎年発表しています。日本の賃金構造は企業の大小による規棋別格差、年功賃金であるため年齢別あるいは勤続年数別の格差が特に大きく、男女別格差、常用本工と臨時工、日雇などとの格差、成長産業と斜腸産業などの産業別格差、大都市周辺と田舎などの農村地帯などの地域別格差も問題になっています。

労働問題とお金

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