熟練労働者

資本主義初期の工場制手工業では、手工労働と労働組織における等級制によって、手工的熱練労働者と不熱練労働者が明確な形で存在しました。機械の導入による新しい生産方法は、このような手工的熟練労勘を追放し、新たに単能的な半熟練労働者と不熟練労勘者を生むとともに、幾つかの作業に習熟する新しい形の熟練労働者を生みました。イギリスの場合、熟練労働者は、職業別労働組合、クラフトユニオンを組織し、賃金やその他の労働条件につき使用者と交渉し、その取決めを行ないました。日本の手工的熱練工は、長年の経験を通じて、カンやコツを内容とする熱練を積んだ基幹工であって、組合などを通じてその労働条件を社会的なものとすることはありませんでした。最近の技術の変革と高度化は、彼らの存在を零細企業など産業の片隅に追いやり、それに代って新しい科学的知識や素養を身につけた、いわゆる学能、半熟練工が増大しつつありました。

労働問題とお金

        copyrght(c).労働問題とお金.all rights reserved

労働問題とお金